吃音について

吃音を持つ人は、日本には約120万人(100人に1人)いると言われていますが、吃音に対する理解は、まだ十分に広がっているとはいえず、まだまだ「しゃべり方がおかしい」などの偏見がぶつけられることも珍しくありません。

この記事では、吃音の種類や吃音に伴い発生する症状、そして私の経験を踏まえ、吃音者がどのように吃音に対処しているかについて説明していきます。

少しでも多くの方に吃音に対する理解を深めていただけますと幸いです。

吃音の3つの種類

吃音には3種類の症状があります。

・連発性吃音
「こ、こ、こ、こんにちは」と、最初の1語を繰り返す。

・伸発性吃音
「こーーんにちは」と、最初の1語が伸びる。

・難発性吃音
「・・・こんにちは」と、最初の1語がうまく出ずに間が空いてしまう。

吃音は、「最初の1語」を発語する時に出ることが多い症状です。
最初の1語さえ発語できれば、その後は案外スムーズに話せたりします。

難発は、連発や伸発に比べ、一見吃音が目立たないと言われていますが、
最初の1語を苦し紛れに発語しようとすると、顔をしかめたりする随伴運動が伴うこと出ることがあります。

成長による吃音の変遷

吃音は、成長とともに変化していきます。

・幼年期
幼年期は連発性吃音が多く、この時期に発症した半数以上が、小学校入学前に自然になくなると言われます。

・学齢期
学齢期になると、難発性吃音に移行することが多いとされています。
予期不安が出てきたり、吃音への対処の工夫が始まるのもこの時期です。
吃音への対処の工夫については、後述します。

・青年期以降
青年期にもなると、吃音への対処方法がある程度身につき、一見吃音症であることに気づかれないこともあります。
また、人によっては話す場面を避けるという「回避行動」が見られることが多くなります。


私の場合は、伸発はなかったのですが、小学生くらいまでは連発でした。
予期不安が強くなってきた中学生頃から、だんだんと難発に変わっていきました。

吃音による予期不安

吃音でやっかいだなぁと感じるのは、予期不安です。

幼少期は、吃音が出てもそれほど気にすることはなかったのですが、

学齢期になると、他の人はどもらずに話せているということに気づき、
「吃音=皆と違う=おかしいこと」という意識が強くなります。


そのためどもってしまうと、「恥ずかしい」「またどもってしまった」などのマイナス感情が芽生えてくるようになります。

「吃音⇒マイナス感情」

これが何度も繰り返されると、発語前に「またどもってしまうのではないか」という予期不安に襲われるようになります。


そして心臓が高鳴なり、身体が硬直し、手に汗をかくなどの身体反応が現れてきます。
頭が軽いパニックを起こすこともあります。
私は授業で音読が始まると、まさにこの状態に陥っていました。

脳が「発語=危険」と察知し、防御機能を働かせるため、発語を阻止してしまうのではないでしょうか。
吃音が長期に及ぶと、この仕組みが脳で出来上がってしまい、難発性に移行するのだと思います。

社会不安障害(対人恐怖症)

社交不安障害の代表的な症状は、過剰な不安や緊張、恐怖感などに苛まれることです。
それによって発汗、ふるえや動悸、腹痛などが身体症状としても現れます。

オーストラリアのエレーヌ・ブルームガルトらの報告によると、
成人吃音症の40~50%が社交不安障害を合併しているとされています。

一般の人で社交不安障害のある人は人口の10%程度だとされていますので、
吃音者は、一般の人より4~5倍という高い割合で社交不安障害があるということになります。

私も社会不安障害を発症していました。
会社員時代に、会社の飲み会など、人が多く集まる場所で症状が顕著に現れました。
店に入った途端に吐き気がしたり、飲み会中の談笑の場面でも、顔が引きつり、作り笑いさせできませんでした。
こんな状態だったため、会社の行事はなるべく避けるようにしていました。

吃音にどのように対処しているのか

吃音は、最初の1語さえ発語できれば、その後は案外スムーズに話せたりします。
最初の1語がなかなか発語できないために、なんとか言葉を発しようと、さまざまな工夫を試みます。

例えば、話始めに「えーっと、確か・・・」などの言葉を加えてみたりします。
これは相手に、最初の1語が言えないのではなく、単語が思い出せないのだと勘違いさせることができます。
非吃音者でもあることなので、ある程度吃音を隠せる効果もあります。

あとは、別の言いやすい言葉に置き換えたり、言葉の順序を変えたりすることも多かったです。
例えば、「挨拶して」という言葉の最初の1語の「あ」出てこなそうだったら、
とっさに、うまく話せそうな「話して」という言葉に置き換えてみたり、

「水曜日、映画行こうよ」という言葉の最初の1語「す」が出てこないと感じたら、
「映画行こうよ、水曜日」というように言葉の順序を変えて話したりしていました。
多少文脈がおかしくなっても、話したいことを伝えるための工夫でしたね。

おわりに

吃音の種類や吃音に伴い発生する症状、そして吃音者がどのように吃音に対処しているかについて説明しました。
この記事が、少しでも多くの方に吃音に対する理解を深めていただけますと幸いです。

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